ドリフェス!の終わりに寄せて

欲しいものは何ですか?と聞かれた15歳の私は、「誰も持っていない、新しくて可愛いものが欲しい」と答えた。
中学の卒業文集にそう書いたのを今でも覚えている。
あれからずいぶん時間が経ったけれど、私は今でもかわいいものが好きだし、何より新しいものが好きだ。

 

思えばドリフェス!はいつも何かが新しかった。
プロジェクトそのものの成り立ちがまず新しかったし、リアルカードを読み込んでアプリに反映させる取り組みもそうだ。
その後伝説として語り継がれつつある強制無課金時代もまあある意味斬新だった(イベント報酬のノマチケ100枚は気が狂っていたと思う)。
「5次元」、女性向け作品において恐らく初であろうAC化、ビジュアルを敢えて寄せない3次元へのアプローチ、なんかよくわからないすごい技術の3DCGライブ…

それらのどれもが見たことがあるようで、でも確実に新しくて、私はいつだってワクワクした。
ときに明後日の方向からやってくる新情報にゲラゲラ笑いながらも、次は何をやってくれるのだろうと心ときめかせた。

もちろん衣装もかわいかった。
スカートが選択肢にない男性アイドルの衣装はきっと変化に乏しいだろうと思っていたが、毎月追加されていくコーデはいつもキラキラしていて、かわいくて、ちょっぴりおかしかった。
リアルクローズ寄りなものからファンタジックなものまで絶妙のラインを揃えてきて、こんな表現もあるのかと驚かされた。

 

「新しい」と「かわいい」で埋め尽くされた毎日。
それらを湯水のように消費しながら、心のどこかで終末の日のことを考えていた。
若手俳優を起用している以上、絶対にどこかで終わりが来る。
アミューズが彼らを専業アイドルとして扱うならともかく、彼らはいつだって「僕たちは俳優です」と言い続けた。
だから私もその覚悟でいた。
そもそも若手俳優オタクだったので、俳優がアイドルを演じる姿も沢山見てきたから別にその在り方に不満を感じたこともない。
むしろ終わりが来る日を恐れながら、でもいつも何かが新しいドリフェス!なら、きっと美しい着地点を用意してくれるだろうと思っていた。
それは2次元も3次元も壊さないような、凡人の私には想像もつかないような素晴らしい着地点。

そんなものがあるのだろうかと思いつつ、きっとこのチームなら大丈夫と信じていた。
終わりを見るのが怖いけど、実はほんのちょっとだけ楽しみでもあったのだ。

 

私はずっと新しくてかわいいものが好きだ。
新しくてかわいいからドリフェス!を好きになった。
じゃあ、ドリフェスから「新しい」や「かわいい」がなくなったらどうなるんだろう。

 

3/5に見たもの全ては私の「怖いもの見たさ」な気持ちを見事に悪いほうに叶えていった。
あっけなさすぎる幕引きも、聞き古した別れの言葉も、余命宣告にも似たライブのお知らせも全然新しくなかった。もちろん可愛くも美しくもなかった。
何より辛かったのが、その日から作品に触れるのが怖くなってしまったことだ。
あんなに輝いて見えていたものが色褪せる気がした。
だって「どうせもうすぐ終わるし…」なんて気持ちで、どうしてキラキラやかわいいに接することが出来るだろう。

最後のイベントシナリオの「DFシアターの移転」はたぶん優しい虚構だろう。
「一旦区切り」だって分からない(ハンサムあたりで戻ってきそうな気はするが)
そんな風に現実をまばゆい光で包んだまま、キャラの、アーティストの、プロジェクトの、それぞれの最後の日まで今までのドリフェス!でいて欲しい。
真実なんて一消費者である私たちには知る由もない。
それならずっと最後まで2年に渡って造り上げられた世界の中で、全てを終わらせて欲しいのだ。

 

新しいものはやがて古くなる。
始まってしまえばいつか必ず終わりが来る。
たくさんの愛おしい始まりを見せてくれたのだから、終わりまで見届けるのが筋かな、と一週間泣き腫らした目で今はぼんやりと考えている。
2.5改め5次元プロジェクトの終わりに、期待していた綺麗なフィニッシュがあるかは分からないけど、やっぱり私はドリフェス!が好きだからきちんと見届けたい。
いつだって新しくてかわいいを見せてくれるDFプロのオタクやってる私を、出来れば永遠にあちらに連れて行ったまま。
そんな終わり方を今はただ望んでいる。

 

 

 

 

 

 

わがままな個人の意見を言うと、続いてくれたらとっても嬉しいけれど、役者をひとつの役に縛り付けるのにはどうしても否定的になってしまいます。
かつての推しが出世作で名を馳せたものの、その後泣かず飛ばずなこともあり、出演から10年以上経った今も、大半の人が彼をそのときの役名で呼ぶのがすごく悔しい。
役者にはそこで時を止めてほしくないんです。
ドリフェス!は全員が芸能界で生き残ってこそ成り立つプロジェクト。
存続にしても、活動再開にしても、7人が欠けることなく業界で生き残り、しかもプロジェクトの特性上同じ事務所に居続けなければ実現しません。
慈善事業で成り立っていないのはアミューズも同じです。

ドリフェス!に関してはどちらかというと2次元寄りで推していたので、ここのギャップで今ものすごく苦しんでいます…
7人にはもっと広い世界に飛び出してほしいけれど、箱庭でずっと楽しんでいたい気持ちもある。
簡単に諦めたくなんかないから足掻いてはみるけど、それがキャストの足枷にならないか、本当に正しいのかずっとずっと悩んでいます。
いずれ訪れるプロジェクトの終焉までに、どうにか自分の中で折り合いをつけられたらいいな。